家庭菜園でジャガイモ栽培。大きく立派なイモを育てるコツを紹介

ジャガイモ(ピルカ) 野菜の育て方

こんにちは ねこの静六です。

今回はジャガイモ栽培について書きたいと思います。

ジャガイモは植付けまでのたね芋の処理、土寄せ、開花期頃からのアブラムシ対策が重要となります。栽培は簡単な割に沢山収穫出来るので満足度の高い野菜です。

大きなジャガイモを沢山収穫する為に調べた情報や私の栽培手順、使用した農薬について書いています。その他、新たに発見した事も随時加筆しています。よろしくお願いします。

ジャガイモの植物としての特徴

科名属名ナス科ナス属
原産地南米アンデス高地
草丈60cm程度
耐寒性普通
耐暑性弱い
栽培のスタート 種イモから
発芽適温15℃~20℃
生育適温20℃前後
植えつけ期春植え(2月下旬~3月) 秋植え(8月下旬~9月)
土壌酸性土壌(PH5.0~6.0)
日照条件日なた
水やり適度に雨が降れば不要
(一週間以上雨が無い等、土の乾燥が強い場合には水やりを行う)
収穫期春植え(5月下旬~6月) 秋植え(11月中旬~12月上旬)
連作障害連作障害あり。ナス科作物を植えた場合、3年程度空ける

ジャガイモの薬膳としての特徴

薬膳としての特徴
  • 性質:平 (熱・温・平・涼・寒の5段階)
  • 体に効く場所:肺・脾
  • 働き:栄養や潤いを体に行きわたらせる

ジャガイモ栽培で注意したい主な害虫・病気

主な害虫
  • アブラムシ
  • ケラ
  • テントウムシダマシ
  • ネキリムシ
  • ハリガネムシ
主な病気
  • うどんこ病
  • 疫病
  • そうか病

害虫・病気に対応する薬剤

ジャガイモ栽培で農薬を使用する場合は以下の様なプランを私は検討しました。今回の栽培で実際に使用した農薬は印の薬剤3つです。

農薬名使用する状況
ダイアジノン粒剤5ケラ、ネキリムシ対策として作条土壌混和で使用
(適用は無いですがハリガネムシも同時に防除が期待できます)
アーリセーフアブラムシ発生時
(コナジラミ、ハダニが発生した場合にも適用があり使用できます)
 トレボン乳剤アブラムシ発生時
(適用は無いですがテントウムシダマシも同時に防除が期待できます)
 カリグリーンうどんこ病発生時
Zボルドー雨天が続くと疫病にかかりやすくなる為、予防的使用
リンクを押していただくと、各薬剤についての私が使用した感想や特徴を詳しく紹介しています

ジャガイモの栽培手順

ピルカは初心者にとてもおすすめの品種です。

農研機能のプレスリリースにはピルカについて以下の様な特徴が書かれています。

  1. 肉色は淡黄色で煮くずれ程度が少なく、水煮料理に向いており、食味は「男爵薯」並みに優れる
  2. 目が浅く、皮がむきやすいので、家庭での調理が容易
  3. 「男爵薯」や「メークイン」よりも多収
  4. ジャガイモシストセンチュウに対して抵抗性を有するため、センチュウ被害を低減

詳しい内容に興味がある方は農研機能のプレスリリース【ばれいしょ新品種「ピルカ」】を読んでみてくださいね。

芽出し・浴光育芽

ジャガイモを上手く育てる為に、芽出し・浴光育芽(よくこういくが)という作業を行いました。

30日程度10℃~20℃の涼しい所で日光をいっぱい浴びせ、黒っぽくて堅い、強い芽を育てます。また、7日に1回程度芽を傷めないように注意しながら、まんべんなく日光が当たるように芋の向きを変えます。

撮影日:2022年1月28日 芽出し開始。たね芋購入時すでに芽が少し出ていましたが、白くて軟らかい芽です。
撮影日:2022年2月4日 少し芽が黒く硬くなってきました。
撮影日:2022年2月24日 芽出し作業から約1ヶ月、順調に強い芽が育ちました。

ジャガイモ栽培の土作り

植付けの1ヶ月以上前からえひめAI-2を散布、土壌混和を何度か繰り返しPH調節を行いました。

ジャガイモそうか病を防ぐため、栽培土壌のPHは5.0~6.0の酸性土壌にする必要がありますが、1ヶ月前のPHが6.5程度と高めであったため、えひめAI-2を散布し、酸度計を見ながら土壌改良しました。えひめAI-2に関しては以下のブログで詳しく紹介しています。興味がありましたら覗いてみてくださいね。

手っ取り早く土壌の酸度を下げるには?

私は有用微生物や乳酸・酢酸などの有機酸を多く含むえひめAI-2を使って土壌PHを調節しましたが、お酢やクエン酸を水で溶かして酸度調整する事も可能です。どちらにしても散布してすぐには土壌PHは落ち着かないので、1ヶ月程度前から土壌改良を行った方が良いです。

また、植付け2日前にダイアジノン粒剤5をケラ、ネキリムシ対策として作条土壌混和で使用しました。

ジャガイモの植付け

撮影日:2022年2月26日

深さ20cmの溝を掘り、30cm間隔でたね芋を配置しました。畑のスペースが少ないので今回タネ芋は切り分けず、そのまま使用しました。

たね芋を切り分ける場合は?

たね芋を切り分けて沢山植付ける事で、総収穫量の増大が期待できます。具体的には、60g以上のたね芋は一個あたり約30g~50gになるよう、必ず頂芽部(ストロンの反対側)を通して切り分けます。また、切り分けは植付けの5日前に行い、切断面が完全に乾燥して皮が張ってから植付ける事で切り分けたたね芋が腐りにくくなります。

撮影日:2022年2月26日 たね芋の間に施肥をした様子。
撮影日:2022年2月26日 たね芋の間に施肥した後、溝全体に薄っすらと少量の米ぬかを撒きました。

たね芋の植付け時には以下の手順で施肥を行いました。

  1. 1ヵ所あたり、移植ゴテ1杯分の堆肥と過リン酸石灰20gを混ぜ、たね芋同士の間に施す。
  2. 1の上に化成肥料(N:K:P=8-8-8)を一握り(おおよそ30g前後)施す。
  3. 溝全体に薄っすらと少量の米ぬかを散布
ジャガイモ栽培にもカルシウム(石灰)は必要!

ジャガイモ栽培で石灰が不足すると塊茎の中心空洞や褐色心腐、気温変動に対する作物の抵抗力低下、軟腐病などの貯蔵病害が起こりやすくなると言われています。素人のジャガイモ栽培でよく言われる「石灰は使わない」は不十分な表現で、石灰施肥によって「土壌をアルカリ化してしまう事は良くない」という正確な意味で理解する必要があります。土壌をアルカリ化しない石灰として私は過リン酸石灰を利用しています。以下のブログで過リン酸石灰について詳しく紹介しています。興味がありましたら覗いてみてくださいね。

米ぬかを散布したのは何故?

米ぬか散布に関しては、農文協の「農家が教える ジャガイモ・サツマイモつくり」という書籍で、米ぬか散布により乳酸菌が増え、その乳酸をそうか病対策に利用するというアイデアが書かれていて私も試しています。

施肥が終われば溝を掘る時によけた土を戻し、地上部に出てきた芽が霜に当たらないよう、ビニールシートで保温しました。

撮影日:2022年3月25日 地上部に芽が出てきました。

芽かき、一回目の追肥・土寄せ

撮影日:2022年4月2日 複数の芽が出てきています。
撮影日:2022年4月2日 芽かきをし、この後追肥・土寄せを行いました。

4月2日、ジャガイモから沢山の芽が出てきました。芽が多いとイモの数は多くなりますが、その分小さくなってしまうので、芽かき作業を行います。私は1株あたり4本の芽を残すように芽かきし、1回目の追肥【1株あたり化成肥料(N:K:P=8-8-8)おおよそ30g前後】を行いました。

一方の手で抜く芽の周囲の土を抑えながら、もう一方の手で芽の付け根から引き抜く感じで行うとうまくいきます。

撮影日:2022年4月11日 遅霜のおそれが無さそうなのでビニールシートを外しました。土がカラカラに乾燥していたので、一株あたり1ℓの水をあげました。

2回目の追肥・土寄せ

撮影日:2022年4月25日 沢山の花芽が見えてきています。

花芽が見えてきた時点で2回目の追肥【1株あたり化成肥料(N:K:P=8-8-8)おおよそ30g前後】と土寄せを行いました。

この時期の土寄せはとても大事!

これから開花以降、土中でジャガイモの肥大が始まります。肥大したイモが土から出てこないように土寄せをしっかりと行います。私はしっかり土寄せしたつもりでも雨などで流され、イモが地上に出てきてしまう事がありました。

開花期以降のカリウム施肥

撮影日:2022年5月8日 綺麗な紫色の花が咲いています。

開花以降に本格的なじゃがいもの肥大期がはじまります。この時期にカリウム肥料を施肥する事でジャガイモの収穫量の増加が期待できます。また、カリウム肥料は病害虫に対する抵抗力向上も期待できます。

具体的な施肥内容は1㎡あたり硫酸カリウム6gを3ℓの水に溶かし、ジャガイモの葉の上から株全体に散布します。これを週に1回合計3回行いました。

硫酸カリウムの特徴は?
現在この硫酸カリウムを使用していますが、肥料高騰の影響なのか?とても手に入りにくくなってきました。
  • 水に溶けやすい(氷点下近い温度では溶解度は下がります)
  • カリウムの保証成分量が50%以上と肥効性がとても高い
  • 肥料効果が速効性
  • 濃度障害が出にくい
  • 土壌を酸性化する

といった特徴があります。私は普段から葉面散布などで多くの作物に使用しています。特にジャガイモやサツマイモ等、土壌をアルカリ化したくない時のカリウム施肥に役立ちます。

次回からは朝日工業の硫酸カリウムを購入したいと考えています。朝日工業の製品は多くのホームセンターでも取り扱いがあり、手に入りやすい為です。


撮影日:2022年5月13日 開花後、ジャガイモの実が出来ていました。ピルカは実が出来やすい品種の様です。実も花も摘み取りせず、そのまま栽培しました。

開花期以降からの病害虫対策

ニジュウヤホシテントウ(テントウムシダマシ))
ニジュウヤホシテントウ(テントウムシダマシ)。葉を食べてしまう厄介者ですが、今年は個体数がとても少なかったので薬剤を使った防除は行いませんでした。
害虫対策

ジャガイモの花の開花前まではネキリムシやケラなどの地中の害虫対策が主となり、植付け時のダイアジノン粒剤5でおおよそ対応できます。

花が咲き始める頃からはアブラムシ、テントウムシダマシが主な対策になります。特にアブラムシは防除しないと高確率でモザイク病にかかり、十分なじゃがいもの収穫量が期待できません。

今回の栽培に関してはテントウムシダマシが非常に少なく、アブラムシ発生時のアーリーセーフ散布のみで防除できました。近くに植えていたエンドウが多くのアブラムシを引き受けてくれていたので、トレボン乳剤を使用するほど被害が大きくありませんでした。

病気対策

ジャガイモの芽が地上に出てきてから30日以降から疫病が発生しやすくなる為、銅殺菌剤のZボルドーを5月3日と5月21日に予防的散布しました。

収穫

ジャガイモはキタアカリ、とうや、十勝こがね等の早生種で植付けから100日程度まで、ホッカイコガネの様な晩生種で植付けから130日程度まで地中のイモが育ちます。ちなみにピルカは中早生種に分類されるそうです。

撮影日:2022年5月25日

植付けから90日たった5月25日、ジャガイモの茎の下部が黄変し倒れ始めたので試し掘りし、一株で2㎏の新ジャガが収穫できました。

撮影日:2022年5月25日 

植付けから100日たった6月4日には一株で3.7㎏のじゃがいもが収穫出来ました。

撮影日2022年6月4日 
収穫後の考察

今回芽かき作業で4本の芽を残して栽培しましたが、300gを超えるようなジャガイモが沢山収穫出来ました。2本位に芽かきする方が私の周りでは多いですが、色々試してみるのも良いと思いました。

今回はジャガイモ栽培について紹介しました。収穫してすぐのジャガイモはしっとりとした感じもあってとても美味しいです。是非自分で育てたジャガイモ楽しんでみてくださいね。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

勉強になった書籍


ジャガイモの芽かきの数と収穫量の関係性や肥料の量によるデンプン価の変化など、専門的なデータの紹介から、たね芋の切り分け方といった基礎的な知識まで幅広く紹介されている書籍で、とても役立ちました。

今までに育てた菜園野菜です。是非覗いてみて下さいね!

五十音順で並び替えも出来ます。

ブログ内菜園野菜と種まき時期一覧表

リンク先に各野菜の栽培方法・病害虫について書いています。是非覗いてみて下さいね!
〈種まき・球根植付け時期は〇〉〈苗の植付け時期は🔶〉
五十音順で並び替えも出来ます
作物名1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
エンドウ〇🔶🔶
オカワカメ
オクラ〇🔶🔶
カブ(聖護院カブ)
キュウリ〇🔶〇🔶〇🔶🔶🔶
茎ブロッコリー(スティックセニョーラ)〇🔶〇🔶〇🔶〇🔶〇🔶〇🔶🔶🔶
コールラビ
ゴーヤ🔶🔶
サトイモ
シカクマメ(四角豆)〇🔶〇🔶
ジャガイモ
シュンギク(春菊)
ダイコン(大根)
チンゲン菜
トマト・ミニトマト〇🔶🔶
ニンジン(人参)
ネギ(九条ネギ)
パセリ
ピーマン🔶🔶🔶
ホウレン草
ミツバ
ヤマイモ(自然薯)、ムカゴ(零余子)
ラッキョウ
ルッコラ(ロケット)
ローズマリー

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