こんにちは ねこの静六です。
本日2020年11月26日に「デュファストン錠5mg」と「ディナゲスト錠1mg・OD錠1mg・錠0.5mg」の取り違えの注意喚起が出されました。2018年にも処方間違いや取り違えの注意喚起が行われましたが未だにヒヤリ・ハットは無くなりません。医療事故やヒヤリ・ハット事例にはミスを防止するためのヒントが沢山詰まっています。是非先人の事例を自身や職場のスキルアップに活かしましょう!
注意喚起文書:「デュファストン錠5mg」と「ディナゲスト錠1mg・OD錠1mg・錠0.5mg」取り違え注意のお願い
その前に薬剤師賠償責任保険について簡単に触れておきたいと思います。
薬剤師賠償責任保険に入っていれば安心ではない!
薬剤師の方は医療事故が起こった際に備えて薬剤師賠償責任保険に加入されていると思います。この保険では慰謝料や訴訟となった際の弁護士費用等が補償されます。ですが実際に保険を利用した事が無い方が多いと思います。この保険で重要な事は
医療事故に遭われた相手側の交渉は事故を起こした薬剤師と被害を受けた方との直接話し合いになるという事です。
責任の程度に関わらず、自分での交渉はかなりの困難を伴います。私の上司が過去に保険を利用した際には一週間程度はまともに勤務のシフトに入れていませんでした。
私も上司が交渉されている状況を間近で見て凄く気が引き締まった事を覚えています。
以降にヒヤリ・ハット事例を載せています。医療事故報告はありませんでした。
デュファストンとディナゲストのヒヤリ・ハット事例
事例1 |
初回の患者が来局し、一般名でジエノゲスト錠1mg2錠/2×朝夕食後 14日分の処方箋を持参された。薬剤師が症状などの問診(聞き取り)をしていると、出血が止まらないとの訴えで来院されたとのこと。子宮内膜症や子宮腺筋症に該当する説明は医師からはなく、次回の受診は1か月後であるにもかかわらず、処方は14日分。医師からは飲み切ってから様子を見るようにとの説明があった。年齢も若いため、薬剤師が黄体ホルモン剤のデュファストンと間違えているのではないかと病院へ問い合わせし、デュファストン5mg2錠/2×朝夕食後、14日分変更になった。 |
背景・要因 |
医療機関で処方箋を入力する際に、名前がディナゲストとデュファストンで似ていることが原因と考えられる。 単純なミス 注意力散漫 |
事例2 |
妊娠希望の患者様に新規で一般名:ジエノゲスト錠 3錠 分3で処方が出た。 ジエノゲストは2錠 分2が通常の処方であり、子宮内膜症の適応しかなく、妊娠希望の方に出るのは不自然だったため、疑義照会した。 処方変更となり、デュファストンが3錠 分3で処方された。 |
背景・要因 |
医師のレセコンではディナゲストと表示があり、デュファストンと見間違えてしまったということだった。 妊娠希望を確認していたため、事前に防ぐことができた。 |
事例3 |
これまでに当薬局を数回利用されている患者で、今回初めて産婦人科の処方箋を持って来局。今回、更年期障害の訴えにて「エストラーナテープ0.72mg:全量14枚/1回1枚・2日に1回交換、【般】ジエノゲスト錠1mg:2錠/分2朝夕食後×10日分」が処方される。処方解析よりHRTを目的とした処方と考えられたため、「【般】ジエノゲスト錠1mg」の処方が「デュファストン錠5mg」の間違いではないかと判断し、疑義照会を行った。その結果、「【般】ジエノゲスト錠1mg」の処方は誤りであり、「デュファストン錠5mg:2錠/分2朝夕食後×10日分」に変更となった。 |
背景・要因 |
「【般】ジエノゲスト錠1mg」の先発品名は「ディナゲスト錠1mg」であるため、処方医が頭文字が同じという理由で誤って薬剤選択された可能性がある。 |
事例4 |
無月経の治療中の患者で、ヒスロンを服用していたが「肝機能にやさしいディナゲストにしよう」とDr.から説明あり。ディナゲストの適応が子宮内膜症しかないため、無月経の治療中患者へのディナゲスト投与に疑問。メーカーに確認したところ、「適応外だが黄体ホルモンとして処方される可能性も考えられる」との回答あり。適応外使用の可能性もあるため、念のため処方医へ疑義照会実施。ディナゲストではなくデュファストンを処方する予定であったことが判明。 |
背景・要因 |
医師の処方薬オーダーリングシステムにおいて、頭文字「デ」にて医薬品の抽出を行った可能性が考えられる。 |
事例5 |
37歳女性に子宮内膜症治療薬のディナゲストが処方されていたが、患者はDr.から高温期2日目に飲むように言われたとのことであり、黄体ホルモン製剤のデュファストンと間違えたのではないかと考え、疑義照会したところ、当方想定通りの変更となった。 |
デュファストンとディナゲストの主な特徴は?
私自身はデュファストンはクロミッドと併用などホルモン補充療法での処方箋しか見たことがありません。でも思い込んではいけないと改めて感じました。
薬に関する医療事故、ヒヤリ・ハット、安全情報は積極的に薬剤師が情報を集め発信しよう!
地域支援体制加算の要件などもあり薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業に参加している薬局はとても増えました。しかしこの事業には私は大きく問題点が2つあると思っています。
この問題を解決するためにもDI情報やヒヤリ・ハット事例をきちんと知り、その情報をよりわかりやすく、事務・医師・看護師などの多職種へ周知する事、また間違いが起こらないように病棟や在宅などに介入してマネジメントする事が薬剤師にしか出来ない役割だと思います。
是非積極的に情報発信して薬剤師の医療人としてのレベルアップしましょう!
今日もありがとうございました。
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