こんにちは ねこの静六です。
今日はピーマン(パプリカを含む)の栽培について書きたいと思います。
ピーマンはビタミンCやカロチン等の栄養を豊富に含む緑黄色野菜です。特にパプリカは野菜類の中でもトップのビタミンC(可食部100gあたり170mg)を含んでいます。収穫も長期間楽しめる家庭菜園の人気野菜です。
栽培するにあたって調べた基礎的な情報や手順、使用できる農薬について書いています。栽培経過や栽培のコツなど、新たに発見した事も随時加筆しています。
ピーマンの植物としての特徴
植物としての特徴
- 科名属名:ナス科トウガラシ属
- 原産地:熱帯アメリカ
- 発芽適温:15℃~30℃(発芽まで7日~14日)
- 生育適温:20~30℃
- 草丈:60~80cm程度まで成長する
- 耐寒性:やや弱い
- 耐暑性:強い
- 土壌:弱酸性(pH6.0~6.5)
- 日照:日向
- 水やり:土は乾燥させすぎない事がコツ(プランター栽培だと真夏は乾燥気味になり易いです)
- 種まき時期:2月中旬~3月
- 苗の植えつけ時期:4月下旬~6月上旬
- 開花期:5月~9月下旬
- 収穫期:ピーマン(6月~10月中旬)、トウガラシ・パプリカ(8月中旬~10月)
- 連作障害:あり。ナス科の野菜を植えた場合には3~4年空ける
- 開花から収穫までの期間 ピーマン(15~20日)、パプリカ(色着くまで育てるには60日近くかかります)
ピーマン・パプリカに対する私の印象
ピーマンは夏の暑さにかなり強いです。それに対してパプリカは猛暑になると花が付いても結実しにくくなりました。秋に近づき少し涼しくなるとパプリカは一気に元気を取り戻す印象です。2020年はパプリカを11月下旬近くまで収穫出来ました。
ピーマンの薬膳としての特徴
薬膳としての特徴
- 性質:平 (熱・温・平・涼・寒の5段階)
- 体に効く場所:肝・心・脾・腎
- 働き:イライラを抑える、血流の流れを良くする、食欲をわかせる
- 利用目的:のぼせ、肩こり、食欲がない、イライラ
ピーマン栽培で注意したい主な害虫・病気
ピーマン栽培で発生する主な病害虫は以下の様なものがあります。
主な害虫
- アザミウマ
- アブラムシ
- カメムシ
- コガネムシ幼虫
- コナジラミ
- ネキリムシ
- オオタバコガ
- ヨトウムシ
- ハダニ
害虫・病気に対応する薬剤
ピーマンの病害虫対策には以下の薬剤を検討しました。
- アーリーセーフ:アブラムシ、ハダニ対策(害虫が見つかれば適時使用)
- ゼンターリ顆粒水和剤:ヨトウムシ、オオタバコガ(結実が始まる前から予防的に使用2週間に1回程度)
- ダイアジノン粒剤5:コガネムシ、ネキリムシ対策(定植時)
- アルバリン粒剤:アブラムシ、コナジラミ対策(定植時と必要があれば生育期)
- ベニカベジフル乳剤:カメムシ、アブラムシ対策(生育期害虫被害が大きければ使用予定)
- カリグリーン:うどんこ病、灰色カビ病対策(基本は症状が出たら使用する薬)
- Zボルドーの予防散布:斑点細菌病その他の病気予防(5月以降に1ヶ月に1回程度定期的に散布予定)
準備した害虫用農薬
害虫用農薬
ゼンターリ顆粒水和剤
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ゼンターリ顆粒水和剤はBT剤と呼ばれる種類の農薬です。添付の説明書通りの水に溶解して使用します。BT剤は自然界にいるバチルス チューリンゲンシスという微生物が作る成分をチョウ目害虫が食べる事で毒性を発揮します。
ゼンターリ顆粒水和剤の特徴
- 野菜類・果樹類・いも類・豆類に収穫前日まで使用可能
- JAS法に基づく有機農産物生産にも使用できる
- BT剤の中でも適用害虫が多い
- 散布後、害虫が退治されるまでは時間を要しますが、食害は直ちに止まるため被害防止に役立ちます。効果はハスモンヨトウ(無降雨条件)で約1~2週間持続
- 使用に当たっては展着剤を加用した方が良い
有機農産物生産にも使用できる農薬ですがアオムシ、オオタバコガ、ヨトウムシ、コナガ、メイガなどによく効きます。
アーリーセーフ
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アーリーセーフは天然物(ヤシ油)由来の脂肪酸グリセリドが有効成分です。野菜類やハーブのハダニ、アブラムシ、コナジラミ、うどんこ病の防除使用できます。
アーリーセーフの特徴
- 有機JAS規格(オーガニック栽培)で使用可能です
- 収穫前日まで使用できるので、家庭菜園での使用に便利です
アーリーセーフは薬液で害虫を溺れさすような効き方をする薬剤なので葉裏等に散布むらを生じないように丁寧に散布する必要があります。
ダイアジノン粒剤5
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ダイアジノン5.0%は有効成分(2-イソプロピルー4-メチルピリミジルー6)-ジエチルチオホスフェートでネキリムシ、ハムシ、コオロギ、タネバエ、ケラ、コガネムシなどの害虫に速効的で、60種以上の作物群にも適用があり幅広く使えます。
ネキリムシやコガネムシは定植後2週間くらいに被害を受ける事が多いですが、定植時にダイアジノン粒剤5を使用する事で被害を防げています。
アルバリン粒剤
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アルバリン粒剤の特徴
- 成分名はジノテフラン
- ネオニコチノイド系の薬剤(昆虫神経のシナプス後膜のニコチン性アセチルコリン受容体に結合し、神経伝達を攪乱することで殺虫活性を示す)
- ワタアブラムシ、コナジラミ、ハモグリバエ、ミナミキイロアザミウマ、キスジノミハムシ、カメムシなど幅広い害虫に効果がある。
- 使用できる作物が多い
- 薬剤のニオイが無い
- 高い浸透移行性があり、速効性、残効性に優れている
ベニカベジフル乳剤
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ベニカベジフル乳剤の特徴
- ピレスロイド系の薬剤で成分名はペルメトリン
- アブラムシ、アオムシ、コナガ、ヨトウムシ、ハイマダラノメイガ等に効果がある
- 速効性と持続性があり、ヨトウムシの若令幼虫では葉の散布で1~2週間効果があると住友化学園芸のHPには書かれています
- 説明書通り水で希釈するだけなので調整が楽コストパフォーマンスが良いです
ゼンターリ顆粒水和剤とアーリーセーフで対応が難しい場合に使用する予定です。
準備した病気用農薬
病気用農薬
Zボルドー水和剤
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Zボルドーは銅殺菌剤で 徐々に放出される銅イオンにより、 作物を糸状菌病害や細菌性病害から保護します。また、日本農林規格(JAS)の有機農産物栽培においても使用可能。
Zボルドーについては以前記事に詳しく書きました。興味がある方は覗いてみてくださいね。
カリグリーン
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カリグリーンは日本農林規格(JAS)の有機農産物栽培においても使用可能な農薬で、カリウム肥料として利用したり、ビニールハウスでは炭酸ガス効果を期待して利用したりもします。
カリグリーンの特徴
- 有効成分は炭酸水素カリウム(重炭酸カリウム)
- うどん粉病や灰色カビ病、さび病に効果がある
- 作物の収穫前日まで使用でき、使用回数制限がない
- カリウム肥料としても登録がある
- 有機農産物の日本農林規格(有機JAS)に適合している
- 野菜類として登録があり適用作物が多い
- 展着剤とともに使用する
展着剤
展着剤
ダイン
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植物の葉っぱにはワックス成分のようなものがついているため、単純に水分を吹きかけてもはじいてしまいます。そのため界面活性剤の入った展着剤を「展着剤の加用が望ましい」と説明書に記載されている農薬で使用します。広めの家庭菜園をする場合には農薬単体と展着剤を別々に購入した方がコストはかなり安くつきます。
農薬はよく説明書を読んで使用しましょう!
ピーマンの栽培手順
私が行ったピーマンの栽培手順です。今回は苗を購入しました。家庭菜園や貸農園程度なら連作障害に強い接木苗が優しくて良いと思います。
土づくりと苗の植えつけ
土づくり
- 苗植付けの2週間前に苦土石灰150g/㎡を入れて耕す(至適pH6.0~6.5)
- 1週間前に堆肥4Kg/㎡と有機入り化成肥料(N:K:P=8:8:8)150g/㎡と過リン酸石灰30g/㎡を入れて耕す
- 幅60㎝、高さ10㎝の畝を立てる
ピーマンは栽培期間がとても長いので元肥は有機入りの化成肥料がおススメです。即効性と持続性があります。過リン酸石灰は堆肥の中にきちんと混ぜこまないと土壌に簡単に固定化されてしまい効果が出にくいです。
プランター栽培では野菜用の培養土を使うと簡単です。
苗の植えつけ
- ポット苗の土にたっぷりと水を吸わせる。
- 株間50cmで植穴をあける。
- ポットから苗を外して植穴に入れ、土を戻して株元を軽く押さえる。
- 支柱を立ててひもで誘引する。
4月20日の植えつけ時にダイアジノン粒剤5とアルバリン粒剤を使用しました。
ピーマンの苗は霜で簡単に枯れてしまうので、遅霜の心配が無い時期に植えつける事が大事です。
ピーマンのわき芽取り
植えつけ後、成長が始まるとわき芽がどんどん伸びてきます。ピーマンは主茎と一番花のすぐ下の勢いのあるわき芽を2本伸ばし、一番花を起点とした3本に仕立てにします。それより下のわき芽は見つけ次第取り除いていきます。残すわき芽は伸びてきたら必要に応じて支柱を立てます。
2021年5月11日に病気予防にZボルドーを散布しました。
追肥
長期間収穫するには定期的な追肥が大事!
追肥は植えつけから3~4週間に1回(N:K:P=8:8:8)30g/㎡を畝の両側にまいて軽く土寄せします。
植えつけから45日経過時の感想
定植時の農薬と病気予防のZボルドー1回使用だけで特別病害虫の被害も無く元気に育ってくれています。ピーマンなる太郎を初めて育てましたが、本当にどんどん実が出来るので面白いし嬉しいです。また育てたいと思う品種です。
ピーマンの収穫
ピーマンは6月~10月中旬の期間に適時収穫します
- 一般的なピーマン(30g程度)は開花後20日位で収穫
- 大型種やパプリカは開花後60日位で収穫
- トウガラシは赤く色づく秋に収穫
ピーマンやパプリカは早めに実を収穫して株の負担を少なくするのが長期間沢山収穫するコツです。特にパプリカは色づくのにとても時間がかかるのである程度は緑のパプリカで収穫する方が収量が得られます。
ピーマンの栽培は難易度が高めと言われますが、苗からなら失敗は少なく出来ます。沢山収穫できるのでチャレンジし甲斐がありますよ!
最後まで読んでくださってありがとうございました。
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