こんにちは ねこの静六です。
今日はキュウリの栽培について書きたいと思います。
キュウリはサラダ、漬物、酢の物など日本の食卓に欠かせない定番の夏野菜です。
栽培するにあたって調べた基礎的な情報や私の栽培手順、使用できる農薬について書いています。栽培経過や栽培のコツなど、新たに発見した事も随時加筆しています。
キュウリの植物としての特徴
植物としての特徴
- 科名属名:ウリ科キュウリ属
- 原産地:インド北部ヒマラヤ山脈
- 発芽適温:25℃~30℃
- 生育適温:昼:22℃~28℃ 夜:17℃~18℃
- 栽培のスタート:タネ・苗
- 草丈:2m以上のツルになる
- 耐寒性:弱い
- 耐暑性:やや強い
- 土壌:弱酸性(PH5.5~7.0)
- 日照条件:日なた
- 水やり:水切れさせない
- 種まき期:3月~6月
- 植えつけ期:4月下旬~8月上旬
- 収穫期 6月~11月中旬の約2か月間
- 植えつけから収穫までの期間 苗の植えつけから約45日程度
- 開花から収穫までの期間 7日程度
- 連作障害あり。ウリ科の野菜を植えた畑では、4~5年空ける
- 育てやすい品種:定番の「夏すずみ」「シャキット」はうどんこ病やべと病に耐性があり育てやすい
無難に栽培するなら接木苗から始めるのがおススメ!
接木をしないキュウリ(自根キュウリ)の方が、果実の皮がやわらかくて美味しいと言われていますが、病気や連作障害に強いかぼちゃを台木にした接木苗を購入して育てるのが一番無難です。5月位になるとホームセンターで沢山販売されます。多くのキュウリ農家の方も接木苗で栽培されているそうです。
キュウリの薬膳としての特徴
薬膳としての特徴
- 性質:涼 (熱・温・平・涼・寒の5段階)
- 体に効く場所:心・脾
- 働き:体の熱を冷まし、潤いを与える。
- 利用目的:のぼせ・ほてりを取る。むくみの解消。喉に潤いを与える。
キュウリ栽培で注意したい主な害虫・病気
キュウリ栽培で発生する主な病害虫は以下の様なものがあります。
主な害虫
- アザミウマ
- アブラムシ
- ハムシ(特にウリハムシ)
- カメムシ
- コガネムシ幼虫
- コナジラミ
- ネキリムシ
- タバコガ
- ヨトウムシ
- ハダニ
主な病気
- 青枯れ病
- うどんこ病
- 褐斑細菌病
- 炭疽病
- つる割れ病
- 灰色カビ病
- べと病
- 斑点細菌病
- モザイク病(主にアブラムシが原因)
青枯れ病はキュウリ、トマト、ナス等に多い病気で、晴れた日は萎れ、曇りの日は元気になるといった状態を繰り返し徐々に悪化していきます。発症すると治療は困難で他の作物に感染しないように株ごと抜き去り、別の場所で廃棄します。接木苗を使用する事で青枯れはかなり抑える事が出来ます。
害虫・病気に対応する薬剤
苗の定植後から1ヶ月程度の初期成長期間の病害虫をしっかり防ぎたいのでキュウリの病害虫対策は以下を基本的なプランを私は考えています。
- 苗の定植時:アルバリン粒剤+ダイアジノン粒剤5
- 定植2週間後と3週間後位にゼンターリ顆粒水和剤
- 定植数日後とその後4週間に1回程度Zボルドー使用
- Zボルドーを使用した2週間後にカリグリーン
上記の処置を行い、それでも薬剤が必要な病害虫が発生した場合には、アルバリン粒剤の追加、ベニカベジフル乳剤、アーリーセーフ、苦土石灰の上澄み液などで対応する予定です。
準備した害虫用農薬
害虫用農薬
ゼンターリ顆粒水和剤
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ゼンターリ顆粒水和剤はBT剤と呼ばれる種類の農薬です。添付の説明書通りの水に溶解して使用します。BT剤は自然界にいるバチルス チューリンゲンシスという微生物が作る成分をチョウ目害虫が食べる事で毒性を発揮します。
ゼンターリ顆粒水和剤の特徴
- 野菜類・果樹類・いも類・豆類に収穫前日まで使用可能
- JAS法に基づく有機農産物生産にも使用できる
- BT剤の中でも適用害虫が多い
- 散布後、害虫が退治されるまでは時間を要しますが、食害は直ちに止まるため被害防止に役立ちます。効果はハスモンヨトウ(無降雨条件)で約1~2週間持続
- 使用に当たっては展着剤を加用した方が良い
有機農産物生産にも使用できる農薬ですがアオムシ、オオタバコガ、ヨトウムシ、コナガ、メイガなどによく効きます。
ゼンターリ顆粒水和剤については以前記事に詳しく書きました。興味がある方は覗いてみてくださいね。
アーリーセーフ
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アーリーセーフは天然物(ヤシ油)由来の脂肪酸グリセリドが有効成分です。野菜類やハーブのハダニ、アブラムシ、コナジラミ、うどんこ病の防除使用できます。
アーリーセーフの特徴
- 有機JAS規格(オーガニック栽培)で使用可能です
- 収穫前日まで使用できるので、家庭菜園での使用に便利です
アーリーセーフは薬液で害虫を溺れさすような効き方をする薬剤なので葉裏等に散布むらを生じないように丁寧に散布する必要があります。
ダイアジノン粒剤5
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ダイアジノン5.0%は有効成分(2-イソプロピルー4-メチルピリミジルー6)-ジエチルチオホスフェートでネキリムシ、ハムシ、コオロギ、タネバエ、ケラ、コガネムシなどの害虫に速効的で、60種以上の作物群にも適用があり幅広く使えます。
ネキリムシやコガネムシは定植後2週間くらいに被害を受ける事が多いですが、定植時にダイアジノン粒剤5を使用する事で被害を防げています。
アルバリン粒剤
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アルバリン粒剤の特徴
- 成分名はジノテフラン
- ネオニコチノイド系の薬剤(昆虫神経のシナプス後膜のニコチン性アセチルコリン受容体に結合し、神経伝達を攪乱することで殺虫活性を示す)
- ワタアブラムシ、コナジラミ、ハモグリバエ、ミナミキイロアザミウマ、キスジノミハムシ、カメムシなど幅広い害虫に効果がある。
- 使用できる作物が多い
- 薬剤のニオイが無い
- 高い浸透移行性があり、速効性、残効性に優れている
アブラムシやコナジラミはもちろん、適用はありませんがキュウリで頻発するウリハムシに対してもとても効果がありました。
ベニカベジフル乳剤
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ベニカベジフル乳剤の特徴
- ピレスロイド系の薬剤で成分名はペルメトリン
- アブラムシ、アオムシ、コナガ、ヨトウムシ、ハイマダラノメイガ等に効果がある
- 速効性と持続性があり、ヨトウムシの若令幼虫では葉の散布で1~2週間効果があると住友化学園芸のHPには書かれています
- 説明書通り水で希釈するだけなので調整が楽コストパフォーマンスが良いです
ゼンターリ顆粒水和剤とアーリーセーフで対応が難しい場合に使用する予定です。
準備した病気用農薬
病気用農薬
Zボルドー水和剤
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Zボルドーは銅殺菌剤で 徐々に放出される銅イオンにより、 作物を糸状菌病害や細菌性病害から保護します。また、日本農林規格(JAS)の有機農産物栽培においても使用可能。
Zボルドーについては以前記事に詳しく書きました。興味がある方は覗いてみてくださいね。
カリグリーン
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カリグリーンは日本農林規格(JAS)の有機農産物栽培においても使用可能な農薬で、カリウム肥料として利用したり、ビニールハウスでは炭酸ガス効果を期待して利用したりもします。
カリグリーンの特徴
- 有効成分は炭酸水素カリウム(重炭酸カリウム)
- うどん粉病や灰色カビ病、さび病に効果がある
- 作物の収穫前日まで使用でき、使用回数制限がない
- カリウム肥料としても登録がある
- 有機農産物の日本農林規格(有機JAS)に適合している
- 野菜類として登録があり適用作物が多い
- 展着剤とともに使用する
展着剤
展着剤
ダイン
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植物の葉っぱにはワックス成分のようなものがついているため、単純に水分を吹きかけてもはじいてしまいます。そのため界面活性剤の入った展着剤を「展着剤の加用が望ましい」と説明書に記載されている農薬で使用します。広めの家庭菜園をする場合には農薬単体と展着剤を別々に購入した方がコストはかなり安くつきます。
農薬はよく説明書を読んで使用しましょう!
キュウリの栽培手順
私が行ったキュウリの栽培手順です。今回は苗を購入しました。家庭菜園や貸農園程度なら連作障害に強い接木苗が優しくて良いと思います。
土づくりと苗の植えつけ
土づくり
- 苗植付けの2週間前に苦土石灰150g/㎡を入れて耕す(至適pH5.5~7.0)
- 1週間前に堆肥4Kg/㎡と有機入り化成肥料(N:K:P=8:8:8)150g/㎡と熔りん50g/㎡を入れて耕す。(全面施肥)
- 幅60㎝、高さ10㎝の畝を立てる
キュウリの根は酸素が好きなので根を浅く張る性質があります。広く深く根が張るように深めにしっかりと耕す事が大切です。
プランター栽培では野菜用の培養土を使うと簡単です。
苗の植えつけ
- ポット苗の土にたっぷりと水を吸わせる。
- 株間50cmで植穴をあける。
- ポットから苗を外して植穴に入れ、土を戻して株元を軽く押さえる。
- 支柱を立ててひもで誘引する。キュウリは重量があるので210cmの支柱を使って丈夫な合掌作りにしました。(ツルが伸びてきたら適宜支柱に誘引)
5月4日の植えつけ時にダイアジノン粒剤5とアルバリン粒剤を使用しました。
5月6日にZボルドーを散布しました。(本当は定植後4日ほど散布せずに様子を見たかったですが、今後雨が続く予報なので散布しました。)
キュウリのわき芽取り
風通しをよくするために、親づるの下から本葉5枚目までのわき芽や実は摘み取ります。
親づるの下から本葉6枚目以降のわき芽の子づるを伸ばします。子づるは本葉2枚を残して摘心します。
子づるから伸びる孫づるは半ば放任で様子見ます。
2021年5月20日カリグリーンとゼンターリ顆粒水和剤を散布しました。
追肥
キュウリは成長がとても速いので肥料切れに注意が必要です。
追肥は定植3週間後に1回有機入り化成肥料(N:K:P=8:8:8)を50g/㎡まき、土寄せします。
以降も3週間に1回のペースで同様の追肥を行います。
キュウリの雄花と雌花。受粉させる必要はなし
キュウリは、単為結果性の野菜で雄花と雌花を受粉させなくても実ができます。
未受粉のキュウリは普段私たちが食べている種がやわらかく白色のキュウリです。
受粉させた場合、成長したキュウリの種は硬く黒くなるそうです。
6月2日に病気予防の為にZボルドーを散布しました。
キュウリの収穫
キュウリは開花後7日程度で食べごろサイズ(18cm~20cm位)に成長します。
キュウリは早めの収穫する事が沢山収穫するコツです。特に生育の初期(2番果位まで)は10cm~15cm位で収穫するとその後の実つきが良くなります。うまく育てると1株で30本位収穫できるそうです。
自根苗キュウリの栽培もおススメ!
自根苗のキュウリはブルームと呼ばれる白い粉が付着しています。ブルームはキュウリが出す水分の蒸発を防ぐためんの物質です。自根苗は接木苗よりも連作障害に弱いですが、接木苗よりも味が濃く甘みがありました。とても美味しかったので是非育てて食べ比べしてみてください!
身体にこもった熱を取り、潤いを与えてくれるキュウリを育ててみませんか?
最後まで読んでくださってありがとうございました。
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