こんにちは ねこの静六です。
今日はリン肥料の一つ過リン酸石灰から作る液体肥料(過石水)について書きたいと思います。
以前にリン酸(P)肥料の全体的な特性についてブログで紹介させていただいたことがあるのですが、リン酸(P)は土壌内で容易に固定化されてしまい、植物に利用されにくい肥料成分と言われています。
そんなリン酸(P)成分を効率的に作物に利用させる為には、リン酸(P)を含む液体肥料を施肥すると良いのですが、液体肥料は固形肥料に比べると高額です。そこで私は過リン酸石灰を使用した液体肥料(過石水)を作成して作物に使用しています。
とても簡単に作れてリン酸(P)以外にもカルシウム(Ca)も補い、作物を強くしてくれる効果が期待できるのでおススメです。
過リン酸石灰の特徴は?
過リン酸石灰は第一リン酸カルシウム 【Ca(H2PO4)2 H2O】 と硫酸カルシウム【CaSO4】を成分とし、特徴は以下の様になっています。
肥料名 | 成分 | PH | 製造方法 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
過リン酸石灰 | 第一リン酸カルシウム 【Ca(H2PO4)2H2O】 硫酸カルシウム【CaSO4】 をおおよそ50%ずつ含む | PH3程度の酸性 | リン鉱石に 硫酸を加えて作る | 水溶性(可溶性) 速効性 堆肥と混ぜて施肥 酸性調整が必要 |
過リン酸石灰は溶けやすく、即効性のあるリン肥料として使用できますが、溶けたリン酸は土壌中のアルミニウムや鉄などとくっ付いて難溶性の塩を形成してしまうため、堆肥の中に混ぜて使用するといった使い方が一般的です。また、過リン酸石灰は土壌をアルカリ化しない石灰として使用できるため、サツマイモやサトイモ、ジャガイモなど酸性土壌が適する作物の石灰補充にも役立ちます。
家庭菜園や貸農園で野菜栽培されている方にとってリン肥料と言えば熔成リン肥(熔リン)の方が馴染みがあると思います。
熔成リン肥がよく紹介される理由としては
- 緩効性(ゆっくり長く効く)
- リンサンの吸収をよくするMg(苦土)が入っている
- アルカリ分を多く含むため、酸性土壌を中和させる効果もある
- 土壌に混ぜ込むだけでよい
といった特徴があり、土壌施肥が簡単に使える所が要因だと思います。
過リン酸石灰から過石水を作る
では、過リン酸石灰から作る液体肥料(過石水)の作成方法を紹介します。
過リン酸石灰の成分のうち、水に溶けやすい第一リン酸カルシウム 【Ca(H2PO4)2 H2O】 を溶かしだしたものが過石水です。もう一つの成分である硫酸カルシウム【CaSO4】はほとんど溶けません。
水1㍑に対して10gの過リン酸石灰を混ぜる
私が普段使用しているのは朝日工業の過リン酸石灰です。どこでも売っています。インターネットでもとても安価に購入できます。
過リン酸石灰を10g秤量する
水1㍑に過リン酸石灰10gを入れてよく混ぜる。
1日放置後、コーヒーフィルターなどでろ過し、上澄み液を採取する。
溶け残った硫酸カルシウムの粒はpHが5.5程度なので、サツマイモやジャガイモなどアルカリ土壌が適さない作物を育てる際のカルシウム肥料として利用できます。
これで過石水の完成です。
過石水を希釈して葉面散布する!
第一リン酸カルシウム【Ca(H2PO4)2 H2O】が溶けだした過石水の中ではリン酸(P)とカルシウムが吸収されやすいイオンの形(PO43-とCa2+)で存在しています。葉面や茎等の作物体に散布する事で効率よくリン酸(P)が吸収されます。また、カルシウムは作物を強健にし、病害虫に強くします。
過石水を葉面散布する際には、5倍程度に希釈して散布する方が良いと思います。私は過石水を原液で使用して、エンドウマメ、サトイモで葉が焼けた事がありました。5倍希釈して使用してからは薬害は出ていません。使い方に決まりはありませんが、私は1~2週間に1回程度、液体肥料として葉面散布を行ったり、トマトやピーマンであれば一番花が咲き始める頃から1週間に1回程度、葉面や果実に散布する事でリン酸(P)による開花・結実の促進や、カルシウムによる尾腐れ病予防が期待して使用しています。
葉面散布を利用すると作物を元気で丈夫に育てる事に役立ちます。興味がある方は手軽に作れる過石水から始めてみても面白いと思います。
基本的な肥料成分とリン肥料の特徴については以下の2つの記事に書かせていただいています。是非覗いてみてくださいね。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
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