こんにちは ねこの静六です
今回はC/N比に基づいた堆肥の作り方について書きたいと思います。家庭菜園や貸農園での作業がほとんど無くなってしまう冬場。それでも何か作業がしたい私は、この冬の時期に堆肥づくりを行う事にしています。
堆肥はいろんな材料で作れますが、「身近な材料」・「低コスト」・「手軽さ」という観点から落ち葉堆肥を作っています。
まずは堆肥作りに大事なC/N比について詳しく、でも出来るだけ簡単に紹介したいと思います。
先に落ち葉堆肥の作り方が読みたい方は目次後半の「落ち葉堆肥の材料」以下から読んでいただけたら幸いです。
堆肥作りに重要な要素C/N比(炭素率)
C/N比とは有機物に含まれる炭素(C)量を窒素(N)量で割ったものです。 下の表にいくつかの有機物の炭素量と窒素量そしてC/N比を載せてみました。 C/N比が低いほど炭素の割合が少なく、C/N比が高いほど炭素の割合が多い有機物となります。
有機物名 | 炭素量(%) | 窒素量(%) | C/N比 |
---|---|---|---|
鶏糞 | 35 | 6 | 5.8 |
牛糞 | 35 | 2 | 15.9 |
米ぬか(生) | 48 | 2.7 | 17.7 |
とうもろこし(残渣) | 43 | 2.1 | 20.8 |
落ち葉 | 40 | 0.8 | 50 |
稲わら | 37 | 0.5 | 74 |
堆肥は有機物が微生物によって発酵分解される事で作られます。
微生物は炭素量20~30に対して窒素量1の割合で炭素と窒素を利用しながら、増殖と有機物の発酵分解を行います。つまりC/N比で20~30位の有機物が堆肥を作るのに適するという事になります。とうもろこしの残渣(葉や茎)は土壌に放置しておくとうまく分解してくれる事で有名ですが、それはC/N比が20.8と微生物がうまく分解するのに適した有機物であるからだと言えます。
ここからは説明上微生物が堆肥を作るのに適した有機物をC/N比30として説明していきます。
ここまでの内容が簡単にイメージできるように図にしてみました。
微生物は炭素30と窒素1を利用して微生物の増殖と有機物の発酵分解を行い、その結果堆肥ができます。(実際には堆肥以外に二酸化炭素や熱も一緒に発生します)
C/N比は高すぎても低すぎても堆肥に適さない理由
先ほど微生物が堆肥を作るのに適した有機物をC/N比30と紹介しました。では、C/N比が30から大きく外れた有機物はどのように発酵するのでしょうか?
C/N比90の有機物をそのまま堆肥化すると炭素が残る!
例えばC/N比90の有機物の堆肥化を簡単な図に示してみました。C/N比90の有機物は例えば木の枝などが該当します。
炭素30と窒素1を利用して微生物によってC/N比90の有機物が堆肥化されると、窒素が足りずに多くの炭素がそのまま残った状態となります。
C/N比15の有機物をそのまま堆肥化すると窒素が残る!
次にC/N比15の有機物の堆肥化を簡単な図に示してみました。C/N比15といえば例えば牛糞が該当します。
炭素30と窒素1を利用して微生物によってC/N比15の有機物が堆肥化されると、炭素が足りず、窒素分が残ってしまいます。
C/N比90、C/N比15の有機物で作った堆肥を土壌に入れた時の影響は?
次に、先ほどの説明で出てきたC/N比90とC/N比15の有機物で作った堆肥を土壌に入れるとどのような働きがあるのか見てみます。
C/N比90の有機物で作った堆肥には炭素が沢山残っています。微生物は残った炭素の発酵分解を行うために、土壌中の窒素を利用します。その結果、植物が利用できる窒素が足らず窒素飢餓になる恐れがあります。ですので、 C/N比90の木の枝だけを土壌に混ぜ込んでいると、発酵が進むにつれ、土壌の窒素がどんどん失われる事になります。
C/N比15の有機物で作った堆肥には窒素成分が残っています。余った窒素成分は肥料成分として土壌で利用されます。そのため、C/N比15の牛糞はその有機物自体に窒素肥料効果が期待できます。しかし、未発酵の窒素が多い有機物はアンモニアが発生して悪臭を放ったり、虫を多く呼び寄せてしまいます。
有機物のC/N比と微生物による発酵分解のまとめ
ここまで紹介してきた有機物のC/N比と堆肥化の関係をまとめたものが下の図になります。
落ち葉堆肥の材料
ここからが落ち葉堆肥の作り方になります。
落ち葉と米ぬかを混ぜる割合は以下の計算式をもとに求めました。
落ち葉堆肥作りの手順
落ち葉は分解の早いクヌギやケヤキなどの広葉樹を集めました。
米ぬかは無人精米所でいくらでももらえるので助かります。
落ち葉1㎏に水600㎖を混ぜて馴染ませた後、米ぬか0.5kgを加え、さらに混ぜ合わせました。雨がかからないように軽く蓋を置き、ここからは一ヶ月に1回程度混ぜ合わせます。
堆肥を仕込んでから一ヶ月後、切り返しを行いました。中の温度は32℃と程よい温度になっています。この時点で葉っぱが発酵した匂いと枯草菌の匂いが程よく混じった、冬の森の香りがしました。
堆肥作りを仕込む時期にもよりますが、5~6ヶ月で出来上がります。目安は販売している堆肥や腐葉土をイメージしてもらえば良いと思いますが
- 手でつぶすとボロボロと崩れる
- 茶褐色~黒褐色
- 土のにおいがする
- 枯草菌の匂いはほとんどしなくなる
といった点が目安になると思います。
自分で作った落ち葉堆肥の使用量は通常の堆肥同様1㎡あたり2~3Kgで使用します。
自分で作った落ち葉堆肥で作物を作ると低コストになるだけでなく満足度もとても高くなると思います。是非チャレンジしてみてくださいね。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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