こんにちは ねこの静六です。
今回は野菜作りにおける有用微生物の一つ「乳酸菌」について紹介したいと思います。
乳酸菌は糖類を分解して乳酸を主に生成する細菌の総称で、野菜作りに有益な作用を沢山持っています。
乳酸菌の特徴
以下に乳酸菌の特徴をまとめてみました。
学名 | ラクトバチルス属 (Lactobacillus) エンテロコッカス属 (Enterococcus) ラクトコッカス属 (Lactococcus) など、他にも多くの種類が存在します。 |
自然界での主な存在場所 | 牛乳 野菜・穀物・果実 人や動物の腸内 |
好む環境 | 酸性 通性嫌気性~偏性嫌気性(酸素が無い状況下で活発に乳酸を作る) 40℃程度の温度 |
特徴① 有機酸を作る | 乳酸菌は糖を代謝して乳酸を作る。 乳酸と一緒に酢酸も作る乳酸菌も存在する |
特徴② 殺菌作用を有する | 乳酸菌が作り出す乳酸は強い酸性であるため、雑菌の発生を抑えたり、殺菌作用を有する。 堆肥作りで納豆菌が強く働きすぎた場合に乳酸を利用すると簡単に働きを抑える事が出来ます。 |
特徴③ フェニル乳酸を作る | 多くの乳酸菌は代謝の過程で、発根促進物質の「フェニル乳酸」を作る |
乳酸菌の利用① 有機酸を利用して土壌に固定化されたミネラルを溶かす
乳酸菌が作り出す乳酸などの有機酸は土壌中で固定化されたミネラルを溶かし、植物に吸収されやすくする働きがあります。以下に土壌(土壌コロイド)に固定化されたミネラルが有機酸によって溶け出すイメージ図を載せました。
※ミネラルとはマグネシウム、カルシウム、鉄などの無機物
植物自身も光合成で作られた炭水化物を利用して根の部分で有機酸を作り、上の図と同じ原理で土壌コロイドにくっ付いたミネラルを溶かして吸収しますが、天気が悪く光合成が十分に出来ないと根から有機酸を十分に作り出せず、ミネラルの吸収が出来なくなります。そういった時にも乳酸菌が作り出す有機酸を土壌に散布する事で植物のミネラル吸収を助ける事が期待できます。
乳酸菌の利用② 自活性センチュウを増やして寄生性センチュウを減らす
乳酸菌は農作物のセンチュウ被害を軽減する事にも期待できます。センチュウは大きく分けて自活性センチュウと寄生性センチュウに分けられます。
分類 | 特徴 |
---|---|
自活性センチュウ | 有機物や乳酸菌などの細菌を餌にして増殖し、自立して生活をするセンチュウ 自活性センチュウの出す老廃物はアンモニアに変わる |
寄生性センチュウ | 動物や植物に寄生して生活するセンチュウ ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウ等 植物寄生型のセンチュウはアンモニアに弱い |
寄生性センチュウが農作物に被害を与えるのですが、乳酸菌を土壌に散布する事で自活性のセンチュウが増え、その自活性センチュウが出す老廃物がアンモニアに変わる事で、アンモニアに弱い寄生性センチュウを減らる効果が期待できます。
乳酸菌の利用③ フェニル乳酸は植物ホルモン「オーキシン」の材料!
2022年1月の現代農業の【雪印種苗・北海道研究農業 眞木 裕子先生】が寄稿した乳酸菌に関する興味深い記事が載っていました。
多くの乳酸菌が発酵の過程で作り出す「フェニル乳酸」という代謝産物が植物に吸収されると、発根活性を示すオーキシンの一種である「フェニル酢酸」に変換される事を発見したという内容でした。
以前から野菜作りに乳酸菌資材を利用していた私ですが、オーキシン作用を期待した乳酸菌やその代謝物の可能性を知ってとても興奮しました。
土壌に乳酸菌を増やす方法
米ぬかや米のとぎ汁を土壌に散布すると乳酸菌を増やす事が出来ます。しかし、この方法は真冬以外では乳酸菌以外に害虫も増えやすくなります。
そこでおすすめなのが
えひめAI-2(あいに)という納豆菌・乳酸菌・酵母菌を含む培養液を自分で作る方法です。
乳酸菌入りの資材はホームセンターでも販売されていますが、高価な物も多く、なかなか購入する気になれません。
えひめAI-2は失敗も少なくとても簡単に作る事が出来るので、乳酸菌を土壌に散布したい方にはとてもおすすめできます。作り方は過去に以下の記事で詳しく紹介しましたので興味のある方は是非覗いてみてくださいね。
微生物を上手く利用できれば化学農薬の使用も減らせるかも!
今回は野菜作りに利用できる乳酸菌の特徴と使用方法について書いてみました。身近な微生物を利用して野菜の病気が防げたり、生育に良い影響が出れば化学的な農薬の使用頻度も少なくて済むと思い、色々楽しみながら試しています。新しい発見や知識を得ましたら、改めて紹介したいと思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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