こんにちは ねこの静六です。
今回は硫酸カリウムについて記事を書きました。
硫酸カリウムは主要な肥料成分を1種類のみ含む「単肥」に該当し、家庭菜園で購入する方は少ないかもしれませんが、元肥や追肥の他、葉面散布にも利用できる使い勝手の良い水溶性カリウム肥料です。
カリウムの植物に対する基本的な働きと一緒に詳しく紹介したいと思います。
植物に対するカリウムの働きは?
まず植物に対するカリウムの主な働きを紹介したいと思います。
- 光合成の材料となる水・窒素・リン酸などの肥料成分を葉や茎に運ぶ
- 光合成によって出来た生産物を葉や果実、生長点、根に運ぶ
- セルロースやリグニン等の細胞壁物質の合成を促進し、植物を丈夫にすることで倒伏や病気に強くする
- タンパク質合成に関わる酵素を活性化し、植物内の窒素利用を高める
- 気孔の開閉にカリウムイオン濃度が関与
以上の中でカリウムの役割で特に重要な、光合成の材料や生産物を運ぶカリウムの役割を図にしました。
この図から植物の生長点や葉、根が生長したり、果実に糖質を蓄える為にはカリウムの働きが欠かせない事がわかります。
ジャガイモやサツマイモ、メロンなどの根茎や果実が大きくなるためにカリウム肥料が必要と言われるのも納得です。
硫酸カリウムの特徴
硫酸カリウムの特徴を表にまとめました。
肥料名 | 成分 | 性状 | PH | カリウム成分量 (%) | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
硫酸カリウム | 硫酸カリウム (K₂SO₄) | 白色や 灰白色結晶 | pH7.0程度の中性 | 約50% | 水溶性で速効性 水に対する溶解度は 11.1g/100mL(20℃) 7.35g/100mL (0℃) 酸性肥料 |
以降で表の内容をもう少し詳しくみていきます。
中性なのに酸性肥料とは?
硫酸カリウムのpHの部分には中性、特徴の部分は酸性肥料と記載しています。これは硫酸カリウムの性質そのものは中性ですが、植物によってK(カリウム)が吸収された後にSO₄²⁻(硫酸イオン)のみが土壌に残ってしまうと土壌のpHを酸性側に傾けるためです。
土壌を酸性化するというと良いイメージが無いかも知れませんが、SO₄²⁻(硫酸イオン)の中のS(イオウ)は植物にとって必須ミネラルの中でもCa(カルシウム)、Mg(マグネシウム)と並んで中量要素といわれ、タンパク質やビタミンなど生理上重要な化合物をつくったり、植物体中の酸化、還元、生長の調整など欠かすことが出来ない要素となります。
カリウム成分量50%とは?
硫酸カリウムはK(カリウム)の肥料成分が50%と非常に多い特徴があります。
例えば、N-P-K=8-8-8の化成肥料100g中のカリウム量はN-P-K=0-0-50の硫酸カリウムでは16gでまかなえてしまいます。
- 化成肥料:N-P-K=8-8-8 100g中のカリウムは?100×0.08=8g
- 硫酸カリウム:N-P-K=0-0-50 16g中のカリウムは?16×0.5=8g
溶けやすさは?
水に対する溶解度は11.1g/100mL(20℃)、7.35g/100mL (0℃)なので、葉面散布に利用する液肥としても溶けやすく使い勝手が良いです。
硫酸カリウムの利用方法
私の利用法を紹介します。
液体肥料としての利用
硫酸カリウム2g対して水1Ⅼの割合の水溶液を作成し、葉面や土壌に散布します。葉面散布だけの場合は葉や茎に液肥がかかるようにスプレーボトル等で散布しています。土壌にも散布する場合には、1㎡辺り3Ⅼ程度までの量を施肥しています。特にジャガイモやサツマイモの肥大期には葉面と同時に土壌にも散布しています。
ぼかし肥料の施肥時に一緒に混ぜて使用
私はコストがほとんどかからない米ぬかでぼかし肥料をよく作っているのですが、米ぬかのみでぼかし肥料を作ると発酵の具合にもよりますが、N-P-K=2-4-1 程度の肥料が出来ると考えられます。このままではK(カリウム)が少なめになるので、米ぬかぼかしを使用する際に一緒に硫酸カリウムも施肥しています。
ぼかし肥料100gに対して硫酸カリウム2g足すと、大体K(カリウム)の比率を1上げる事が出来るような感じでざっくり計算して使用しています。
今回は硫酸カリウムについて紹介しました。単肥の扱いに慣れてくるとコストの節約になり、また、施肥の自由度が拡がるので、より家庭菜園を楽しめると思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
現在はグリーンメールというメーカーの硫酸カリウムを利用していますが、次回からは朝日工業の硫酸カリウムを購入したいと考えています。朝日工業の製品は多くのホームセンターやインターネット販売での取り扱いがあり、手に入りやすい為です。
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