野菜作りで活躍するお酢の使い方

お酢 農薬の知識

こんにちは ねこの静六です。

私は苦土石灰や卵の殻をお酢に溶かしてカルシウムの液肥を作り、野菜作りに利用しているのですが、2021年からはお酢そのものの効果に期待した利用を試しています。勉強してみると野菜作りにおけるお酢の利用法はいくつもあります。

今回は私が実際に利用して効果を感じているお酢の利用法を2つ紹介したいと思います。

お酢の利用法① 疑似光合成を与え、植物の生長促進に利用

最初に紹介するのは疑似光合成を与える事で植物の生長促進を期待したお酢の利用です。私自身この方法は曇りの日が続くときや、雨が続いた後などに利用する事で、葉が立ち、作物が活き活きする効果を実感しています。

まずは光合成の流れを簡単に説明したいと思います。

植物は光・水・二酸化炭素を利用し、光合成を行う事でグルコースという糖質を作り出します。このグルコースは植物の構造維持や生長に必要なセルロースやたんぱく質を合成したり、土壌のミネラルを根から吸収しやすくするために必要な根酸の材料となります。また、果実肥大期には子孫へ栄養を多く渡すため果実にグルコースが多く集まります。

しかし、天候が悪く光合成が進まないと十分なグルコースが作られません。グルコースが作られないと、作物が順調に生長できなかったり、果実にグルコースが集まる事が出来ず、糖度の高い美味しい果実を収穫する事が出来ません。こういった時にお酢が活躍します。

お酢は化学式(C₂H₄O₂) で表される有機物質です。グルコース(C₆H₁₂O₆)のちょうど1/3となっています。このグルコースと似た特徴を持つお酢を葉面散布や土壌に散布する事で、疑似光合成を植物に与え、植物の生長促進が期待できます。

植物の生長促進にお酢を利用する場合には、食酢を100倍以上に希釈して葉面散布や土壌散布します。

私は卵の殻を食酢で溶かして卵酢を作り、それを水で100倍希釈したものを葉面散布や土壌散布に使っています。卵酢の利用には以下のメリットを私は感じています。

  • 植物へお酢と共に、カルシウムも供給できる。
  • 卵酢にする事で泡立ちが良くなり、作物の葉面に散布液が留まりやすくなる。
  • お酢と卵の殻が反応し、酸度がマイルドになる。
卵酢の作り方

お酢100㎖に対して卵の殻1個を浸け、1日程放置し、卵の殻から泡が出なくなったら完成です。農業雑誌では卵の殻を細かく砕いてからお酢に漬けると書かれていましたが、殻は砕かない方が出来た卵酢からの取り出しが楽です。

卵の殻の代わりに苦土石灰を使った方法もあります。

苦土石灰を利用した場合にはカルシウムと共に、マグネシウム(苦土)も植物に供給できる利点があります。

苦土石灰を使った作り方

苦土石灰1gをお酢40㎖で溶かし、それを水で100倍に薄め、葉面・茎・土壌に散布

どちらの方法でも私は曇りや雨などで、光合成が進まないような状況時に週1~2回程度使用しています。使用量は100倍に薄めたものを1㎡のあたり1~2ℓを作物の上から直接散布しています。

お酢の利用法② 植物の乾燥耐性に利用

酢酸(お酢)は植物が乾燥に対して強くなる過程において、重要な役割を持つ事も最近の研究でわかってきました。

下の図は光合成で作られたグルコースの植物内での代謝経路(利用方法)を示しています。図の上半分は植物に十分な水分がある状態下半分は植物が乾燥している状態を表しています。

お酢(酢酸)乾燥耐性
科学技術振興機構(JST)「植物に酢酸を与えると乾燥に強くなるメカニズムを発見」を参考に作成
植物に十分な水分がある場合

グルコースは主に植物体の維持・成長に利用されます。(クエン酸回路という代謝経路を利用)

植物が乾燥している場合

グルコースは植物が乾燥強くなる遺伝子を活性化する事にも利用されます。(グルコース➡酢酸(お酢)➡ジャスモン酸という代謝変換を経て)

この図からわかる事として、植物は乾燥状態になると光合成で作られたグルコースを植物体の維持・生長だけでなく、乾燥環境に耐える為にも利用する事(植物体の維持・生長に利用できるグルコースが減ってしまう)また、酢酸(お酢)が乾燥耐性遺伝子の活性化に関わっている事が挙げられます。

実際、科学技術振興機構(JST)理化学研究所のプレスリリース「植物に酢酸を与えると乾燥に強くなるメカニズムを発見」では、シロイヌナズナやイネ、トウモロコシ、コムギ、ナタネといった植物に酢酸を与えることで乾燥耐性が強化されることが確認されています。ちなみに色々な酸で実験をされていますが、酢酸でしか強い乾燥耐性が得られない様です。興味がある方はリンク先のプレスリリースを読んでいただくとより詳しく理解できると思います。

植物の乾燥耐性に利用するお酢の濃度は?

理化学研究所のプレスリリースには有効な酢酸濃度は0.01~0.03mol/Lと書かれていました。市販のお酢の酢酸濃度(質量パーセント濃度)は約4.5%なので、これらの数値をに植物の乾燥耐性に利用するお酢の濃度を計算しました。(細かい計算式は省いています)

  • お酢の酢酸濃度4.5%=0.76mol/L
  • 0.76mol/L=【0.01~0.3mol/L】×(A希釈倍数)
  • A=76倍~25倍

おおよそ、市販のお酢(酢酸濃度4.5%)を70倍希釈して利用すれば乾燥耐性に対する効果が期待できます。

2021年8月の現代農業には葉面散布・灌注どちらでも効果があると紹介されていました。

私自身は夏場の猛暑でしばらく雨が降らない時にトマトやピーマン栽培においてあらかじめ単回灌注して使用しました。

何となくでも使ってみて効果、使用感覚をつかんでみよう!

今回はお酢の利用法を2つ紹介させていただきました。初めてお酢を利用されるのであれば、まずは卵酢を作って100倍以上で希釈し、葉面・土壌散布で利用してみるのが良いと思います。使用頻度には特にルールがあるわけでは無いので、自分なりに使用して感覚を掴んでみましょう!感覚が掴めるとお酢無の効果にきっと驚くと思います。

他にも弱った根を回復させる事に利用させたり、除草効果に利用されたりとお酢の利用方法は色々とありますが、まだ私自身実践した事が無いので、実際に利用してまたブログで紹介したいと思います。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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