こんにちは ねこの静六です
今日は私が参加した地域ケア会議について書きたいと思います。私は薬局の薬剤師の立場で地域ケア会議に2019年4月から参加しています。2019年の間はまだ地域ケア会議のスタッフみんなが手探りに近い状態だったので、月一回の会議には薬剤師として毎月私と私の同僚2人で参加し続けました。2020年からはコロナの影響も見ながら他の薬局の方にも参加していただいています。他の薬局の管理薬剤師さんに参加をお願いしたりしていますが、まだまだ地域ケア会議の中身について認知されていない事、今後色々な薬局にも参加していただき、調剤薬局の社会的意義を高める事が大切だと思っているので、何か参加につながるきっかけがあればいいなと思っています。
地域ケア会議ではどんなことをしているのか?
地域ケア会議では地域包括支援センターが幹事となって主に要支援、時には要介護の方が自分らしく可能な部分は自立できるように現状の介護・治療・生活に関わる疑問点・問題点についてケアマネージャーや訪問看護、デイサービスの方などから報告をしていただき、今後のケアに貢献できるように専門職の方がアドバイスをしています。
地域包括支援センターとは介護・健康・医療などさまざまな面から地域で生活する高齢者を支えるための拠点で大体中学校校区内に1拠点あり、高齢者の方の困りごとがあればとにかくいったん地域包括支援センターに相談・連絡できるような拠点です。
例えば
- 近所の一人暮らしのおじいちゃんが認知症っぽいけど一人で大丈夫かな?
- 家族だけで介護するのが大変になってきた
- 高齢で病院に通うのが大変
といった相談が出来ます。本人が相談するだけではなく、薬局で薬剤師が薬を渡す場合でも
- 一包化したりしても全然薬が飲めていない
- 身なりが整わなくなってきている
- 認知症がひどいがケア家族がいるのだろうか?
など気づいたことも薬剤師から地域包括支援センターへ相談できます。
地域ケア会議ではどういった職種の方が参加するのか?
地域ケア会議に参加する職種は対象者の状況にもよりますが
- 地域包括支援センターの職員
- ケアマネージャー
- 医師
- 歯科医師
- 管理栄養士
- 看護師
- ヘルパー
- デイサービスのスタッフ
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 薬剤師
といったメンバーになります。
会議をするにあたって提供される対象者の情報
会議を行うにあたって対象者の情報を地域包括支援センターの職員の方から見せていただきます。その情報の中には
- アセスメントシート(利用者の背景や必要とする介護などの基本情報)
- 介護(予防)サービス支援計画書
- 基本チェックリスト(生活や健康状態を振り返り衰えているところな無いか確認するツール)
- 食事の状況
- 既往歴
- 服用薬の情報(ケアマネさんが聞き取った情報、お薬手帳のコピーなど)
といった内容が主に挙げられます。
※個人情報の守秘義務がありますので、会議の都度守秘義務誓約書への署名をしています。
アセスメントシート、介護(予防)サービス支援計画書、基本チェックリストのサンプルです。
薬剤師は会議でどのようなアドバイスや質問を受けたのか?
ここでは実際に行ったアドバイスや質問に対する答えを書きたいと思います。
アドバイス事例:ケアマネさんが患者さんから聴き取って作成した薬の情報で、薬名が異なっていたり、用法が明らかに問題があり、確認が必要になるケースが結構ある為、薬の情報に関してはお薬手帳、薬情で準備された方が良いとアドバイス
質問:狭心症の方で発作時にニトロペンを使用するが、アルミシートを破るのが難しいが分包できないか?⇒一包化は出来ない薬である。ニトロールの様なPTPを押し出す薬や、スプレー式の発作の薬もある事、定期で飲んでいる薬の増量を医師に相談してみても良いかもと回答
質問:一包化で薬を自己管理してるが、それとは別に一包化していない粉薬があり飲み忘れが多い。飲み忘れない何かよい方法は無いか?⇒粉薬を錠剤に変更し一包化に入れ込めるとアドバイス
質問:薬局に薬管理してもらう場合の手順はどうすればよいか?⇒医師の指示、契約が必要な事など手順の説明を行うと回答
質問:薬が飲みにくい患者の場合、カプセルを開けて飲んでも良いのか?⇒薬によるので薬剤師にその都度確認する必要がある、同薬効の口腔内崩壊錠への変更の可能性を回答
質問:薬を朝・昼・夕で訪問看護でセットしているが飲み忘れがある。一包化もしてもらっているが何か良い方法は無いか?薬の変更にて1日1回でフォローできる可能性があり、具体的に薬品名を述べ、医師に現状を相談する方が良いと回答
まだまだ色々とありますが、医師が一緒に会議に参加される場合は医師に先に意見を言ってもらった方がスムーズに進むように思います。
参加していて薬剤師ならではの強みと感じる部分は
- PTPシートの硬さや錠剤の大きさに関する変更提案
- 他の剤型への提案
- 一包化出来るかできないか、出来ない場合は出来る薬の提案
- 薬剤師が行う居宅療養管理指導は介護保険の支給限度額の対象外で出来るサービス
- 副作用に対する知識
- 薬が飲めていない可能性やその場合の対処
といった部分だと思います。もちろんどんどん思った事は発言すればよいと思います。
地域ケア会議に出席する事はメリットが沢山
地域ケア会議に参加してからメリットは沢山ありました。医師・歯科医師・看護師・地域包括支援センター・ケアマネその他色々な職種の方との繋がりができ、また知り合いになった方から相談いただいたりなどかなり多職種連携に溶け込みやすくなります。処方箋を受け付けてもらえるか?といった依頼も入ってくるようになりました。特に営業活動など普段しない私にとっては他の職種の方に薬剤師の存在を発揮できる凄く良い場になりました。
地域ケア会議に参加するためにはどうすればよいか?
地域ケア会議に参加する手順ですが、知り合いに参加している方がいない場合は、自身の地区の地域包括支援センターに電話してみて地域ケア会議を見学してみたいと申し出てみるとよいと思います。見学を受け付けている包括支援センターは沢山あります。まだ全国的に地域ケア会議が始まって2年程度ですので、方向性も中身もこれからもっともっと磨かれていく時期だと思います。ですので参加するのにまったく遅くはありません。地域ケア会議を見学してから自分の薬局も参加してみたいと申し出れば良いと思います。そして参加してみればまた新たな調剤薬局の存在意義が沢山見つかると思います。単純な調剤よりも多職種連携の方が私は楽しめています。
私はこの書籍の古いバージョンのものを読んだり、困った時に調べながら、在宅・居宅療養管理指導を勉強しました。第3版からは地域包括ケアシステムについても解説が書かれていました。
私は在宅・地域連携に介入しだして以降、多職種の方からの在宅の依頼が多すぎて、自分の薬局だけで受けきれず残念な気持ちになる事があります。在宅を始めてくれる薬局がもっと増え、世の中の在宅依頼への需要に応えることで、調剤薬局の薬剤師として地域貢献したいと思い私の実経験をブログに書かせていただいています。少しでも皆様の現場のお役に立てれば幸いです。
今日もありがとうございました。
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